中山眼科クリニック

ドライアイ

ドライアイとは

ドライアイとは涙の量が少なくなったり、涙の性質が変化したりして、目の表面に障害を引き起こし、視力低下や目の不快感を生じることを指します。ドライアイの患者さんは「目が乾く」という症状よりも、「目が疲れやすい」、「目に不快感がある」、「目が赤い」といった症状を感じます。
健康な目の表面はつねに涙の三層(ムチン層、水層、油層)の構造で覆われて、保護されていますが、涙の必要量は人によってかなり異なります。涙が少しくらい減少しても目の表面は正常な状態を保っている人も多い一方、涙が少し減少しただけで表面の細胞が痛んでしまう人も多いです。すなわち涙液が減少しただけではドライアイにはなりません。いくつかの原因が重なって、涙が減少すると共に涙の成分が変化し、その結果として表面の粘膜が障害を受けてはじめてドライアイになると考えられます。
ドライアイの患者数は1000万人以上と言われています。国民の約10%に相当する人がかかっており、現代病とも言えます。最近では、3コン(パソコン、エアコン、コンタクトレンズ)の使用などライフスタイルの変化によるものが増えています。

ドライアイの症状

ドライアイは原因や環境によって症状はさまざまなものがあります。一過性のものがあれば、慢性的に症状を呈するものもあります。
ドライアイの症状は「目が乾く」という症状よりも「目が疲れやすい」「目に不快感がある」「目が赤い」といった症状を感じます。このような症状が長く続くようであればドライアイかもしれません。
上記のようなことに気をつけ、それでも症状が改善しない場合は眼科を受診しましょう。

ドライアイの検査

ドライアイの検査は涙液検査と角結膜上皮の検査に分けられます。さらに涙液検査は涙液の量の検査と涙液の質の検査があります。いずれも外来で検査できますので診断は難しくありません。ドライアイが判れば、さらにそれを引き起こす原因のチェックも必要になります。

ドライアイの検査

①フルオレセイン染色:フルオレセインという蛍光色素で角膜や結膜に傷などの障害があるかどうかを調べます。
②BUT(tear film breakup time,涙液層破壊時間):涙液の安定性を測る検査です。10秒以下は異常です。
③ティアメニスカス(涙三角):下まぶたの上にまたがっている涙液の高さを調べて、涙液貯留量を推定します。
④シルマーテスト:涙液が十分に出ているかどうか、ろ紙を用いて分泌量を測定します。

季節とドライアイ

冬は他の季節に比べ、湿度が低くなります。その上、暖房を使用するため、部屋の空気はさらに乾燥しがちです。室内が乾燥すると、涙が蒸発して角膜にキズができてドライアイの症状はきつく出る傾向があります。対応策として暖房器具からの風が直接目にあたらないようにすると共に加湿器などで室内の乾燥を防ぐようにしましょう。
夏は比較的湿度が高いですが暑い日、エアコンの効いた室内にこもりっきりでテレビを見たり、ゲームをしたり、パソコンばかりしていると目も乾きやすくなり、ドライアイの症状を引き起こしやすくなります。とくにエアコンの風が直接目にあたらないように注意しましょう。

アレルギー性結膜炎とドライアイ

ドライアイにアレルギー性結膜炎を合併することは少なくありません。涙液減少型ドライアイ症例では、目の表面に付着した花粉や抗原を十分量の涙液で洗い流すことができないため、アレルギーの症状を悪化させます。
逆に、アレルギーで炎症を起こすと目の表面が炎症により傷ついたり荒れた状態になります。そのため、涙の分泌や性状が変化し、ドライアイを引き起こします。
このように、ドライアイとアレルギーはお互いの症状を悪化させる要因になりますので、両者を同時に治療することが大切です。

コンタクトレンズとドライアイ

涙はコンタクトレンズと角膜の間で潤滑油の働きをしています。そのため、コンタクトレンズを使うと多くの涙が必要になります。しかも、コンタクトレンズは、機械的に角膜をこすることによって、涙成分のバランスを崩すことがあります。また、コンタクトレンズの汚れやカーブが目に合っていないと角膜に張り付きやすく、ドライアイを引き起こすことも少なくありません。
コンタクトレンズ装用者の半数以上が目の乾きを訴えているといわれており、コンタクトレンズの使用はドライアイになりやすいといえます。コンタクトレンズの種類によっても乾きやすさが違います。ソフトコンタクトレンズは水を含んでいるため乾燥に弱く、裸眼時以上に目が乾きやすくなりますが素材が柔らかいため、初期の症状は気づきにくく、症状が出た段階でドライアイの病状はかなり進行していることがあります。一方、ハードコンタクトによるドライアイは早期に異物感が出やすくなったため、早いうちに診断ができ、対策を立てられます。

IT眼症

IT眼症とはパソコン、携帯電話、テレビゲームなどIT機器を使って長期間の作業により、ドライアイ、目の疲れ、肩こりなど様々な症状が生じることを指します。
IT作業中は目を集中して使うため、瞬きの回数がすくなくなります。そのために涙の量が減り、涙の蒸発が起きて、目の表面にキズがつき、ドライアイの症状を生じます。
IT作業を長く続けると疲れ目が生じます。症状を治すには、仕事場の環境を変えたり適切な眼鏡をつけることによって改善されます。また、ドライアイや調節障害等の症状が生じた場合は眼科の医師に目の病気がないか調べてもらい、治療を受けてください。
IT眼症を予防するには、体に負担をかけない正しい姿勢を心掛けることが必要です。ディスプレイを上向きに見上げて作業を続けると、眼の露出面積が増え、乾きやすくなります。ディスプレイを目と同じ高さかやや下に来るように設置し、エアコンの風が目にあたらないようにしましょう。また、IT作業を1時間続けたら10分間休憩を取り、遠くの景色を眺めたり、適度に体を動かしたりすることも重要です。

注記:IT眼症は別名VDT(visual display terminal)症候群といいます。欧米ではcomputer vision syndrome(コンピューター視覚症候群)とも呼んでいます。

女性とドライアイ

涙液をつくる涙腺や油成分をつくるマイボーム腺は、年齢変化と男性ホルモンが関与しているといわれています。そのため、もともと男性ホルモンの少ない女性において、更年期以降、さらにホルモンの激減でドライアイが生じやすくなります。しかも、ホルモン補充療法の種類によってさらにドライアイを悪化させることもあります。それらが原因で中年以降の女性にドライアイが多いと考えられます。
また若い女性において、ファンデーションの粉が涙に混じっていたり、アイメークのためにマイボーム腺がふさがっていることもよくあります。それらが原因でドライアイを作っていることもあります。

シェーグレン症候群

シェーグレン症候群とはドライアイのほかに口が乾く(ドライマウス)、関節炎を合併する厚生労働省が定めた難病の一つです。重症のドライアイの代表的な病気で、女性は男性の10倍発症しやすいと言われています。原因は自己免疫疾患によるものと考えられます。
自分の体のリンパ球が涙腺や唾液腺を破壊するため、涙や唾液が減少します。
症状はドライアイのほか、唾液が出ずに食べ物が飲み込めないとか、関節痛や手の指先の痛みなどといった症状があります。その他の症状としては、原因不明の発熱や発疹、またそのほかの自己免疫疾患、リウマチを併発することもしばしばあります。
シェーグレン症候群の治療はドライアイに対する対症療法以外にステロイド剤、免疫抑制剤等の治療法がありますが一般に慢性の経過をたどるため、長期にわたる治療を要する病気です。

ドライアイの治療

ドライアイは様々な要因による涙液および角結膜上皮の慢性疾患であり、大まかに「涙液減少型」と「蒸発亢進型」の二つに分類されます。それぞれに治療や対策が異なり、程度によって環境改善ですむものから点眼治療や手術が必要な患者さんまでさまざまです。
ドライアイの治療はまずドライアイのタイプを正しく把握することが大事です。
原因が特定できれば、まず危険因子を取り除くことからはじめます。それでも症状がかわらなければ、ドライアイの程度について詳しい検査を行った上、病状に合わせて涙液補充剤、角膜保護剤、消炎剤などを処方します。重症の患者さんについて涙点プラグ挿入術や涙点閉鎖術等の治療をおこないます。
最近、水分やムチンの分泌、産生を促進する新しい点眼薬が登場し、涙液の安定性の低下に対して、より効果的な治療が行えるようになってきました。
その他、特殊な症例について、さらに原因を調べ、対応します。例えば結膜弛緩症の場合は手術を行います。マイボーム腺機能不全は目を清潔にすることや油性点眼薬を使うこともあります。

お問い合わせ
中山眼科クリニック
〒606-0816
京都市左京区下鴨松ノ木町35-1
TEL 075-702-8262
WEB予約について